昨日の出来事・・・。
ふと、マーケティングとマネジメントと経営についてフェイスブックに書き込んでいたのですが、ご友人で経営学者の本下先生から「セリングと営業って違うよ」との示唆をいただきました。
本下先生は『響創する日本型マーケティング』の代表編者でもあります。
ちょうど『響創する日本型マーケティング』を読み進めていた私でしたが、「同書の185ページの本下の論考で営業とセリングについての話を書いてるよ」と聞かされ(読んでないのがバレバレ笑)読んで見たのでした。
以下は読後に本下先生に向けて送った感想文となります。
論考読み込みから感想記述まで15時間以上かけたので、せっかくだからと思いシェアします。
▼ とある日の書き込み

▼ 本下教授のご示唆

▼ 私の感想
拝読後の感想を記載します。
もともとはじめに・1章などから「和をもって尊しとなす」国の論だなと思っておりました。
フェイスブックコメントにも記載しましたが、
元の書き込みの「我が社はあんまり営業活動をしていない」は誤りで、「我が社はsellingなど省略化・簡素化する代わりに『共創』部分にリソースを回すという営業形態をとっている」または「積極的なセールス活動を行なっていない」と表現するのが適切なのかもしれません。
とはいえ、sellingの概念が現状明確とはいえないので、保留にしておきます。
以下、細かな感想です。
営業は「顧客と価値を共創する存在」と一体化について
「社内営業」という概念があるように、営業が社内・社外に分かれる点が単純に面白いです。
言うなれば社内調整役と社外折衝役でしょうか。
この辺が後半に出てくる「一体化する」の概念に繋がると考えます。
すなわち営業担当者は社外の異質なカルチャーへ溶けて混じり、それを社内に持ち入れ、柔和する役割とも考えられるからです。
日本型の社会風土や企業組織では、よく「郷に入りては郷に従え」「組織に染まる」など、人間の個性や自意識を無視して所属組織のカルチャーへ適合させ混じりあわせるよう求められがちです。
その辺を見るに、営業というのは社外カルチャーと社内カルチャーの橋渡し的な役割もあるのかもしれません。
この辺は「和をもって尊しとなす」・・・「事なかれ主義」、別のカルチャーとの間でも「穏便に済ます」ための遣唐使的な役割とも見てとれます。
株式会社タテイシ広美社の事例とソリューション開発
株式会社タテイシ広美社の事例を見るに、この事例は「ソリューション開発が行われ、それが功を奏した」ものだと思いました。
起業家論の中ではソリューションは顧客と共に開発する(顧客開発)という考え方があり、「BMLフィードバックループ」など鑑みるにソリューション開発において顧客と企業との適切な関係性が必要不可欠と理解しています。
その他「『買い手の営業力』概念」や東邦レオ株式会社の事例を見ても、営業にはインタラクティブ性があるのだというのも改めて理解しました。
ただし、これも営業担当者の役割とするならば、リサーチやデザイン(ビジネスデザイン・プロダクトデザイン等)など該当範囲があまりにも広くなってしまう・・・とも思います。
この辺、「営業部署・マーケティング部署が分かれているパターン」「ソリューション部署・リサーチ部署など、細かく部署分けがなされているパターン」など見れば、広義の営業・狭義の営業と分けていくことになるのかもしれませんが・・・・。
顧客教育
「ニーズに気づいていないお客様も多かったが他社での事例などを示すと納得してもらえた」という点は顧客教育の話かと思います。
この、「納得してもらう→当然に買う必要があることがわかる→買う→納得しているのでもちろん高い金額でも満足して支払う」というのは、今後ハイブランド・雑多品に二極化するであろう中で、ますます重要性を帯びると思っています。
「日経トップランナー」における「教育化」について
これは論旨とは離れるのでしょうがないと思うのですが、ここの「教育化」という表現には語弊があると感じてしまいました。
「人は皆、幸せになるために生きている」「水が高いところから低いところに流れるように、人は自分が幸せになるために上へ上へと目指すよう行動する」とは、私の修士学生時代の指導教授の書籍からの抜粋です。(修士学生時代には租税正義学など研究していました。)
人は皆、すべからく幸せになるために生きています。
そして、人生100年時代であり、Life is Timeの時代でもあり、ビッグテックの台頭し20人の富豪に資産が集中する時代でもあります。
つまり、嫌がおうにも長生きさせられてしまう=努めて成長しなければ搾取され続けジリ貧になる時代であり、長い人生を最後まで豊かに生き残るために1秒1秒を自身の成長のために貴重に選択して生きる時代と僕は捉えています。
ここに、顧客が満足するのは「教育」ではなく、「人生を進展させるもの」ではないかと考える次第です。
というのも、本稿の「教育」の表現からは、「情報伝達・概念理解」という意味合いのみしか感じられないのに対し、一方で人生の進展にとって必要なことは「実践・成長・習慣化」だからです。
以下は神経言語プログラミング理論を引き合いにした弊社の事業案内資料(一部抜粋)ですが、「情報を伝授され理解する(わかる)」だけでなく、「習慣化して意識せずとも常日頃やっている状態に至る」というのが人生の進展となると僕は理解しています。
終わりに
SDGs推進を生業としている身としては、日本型経営学には従来「三方よし経営」「利他の精神」「論語と算盤」など素晴らしい側面を持つと思いつつ、それでいて1970年〜2000年頃にはアメリカリスペクトな面は多々あったようにも思います。
結果としてアメリカ発の「ステークホルダー資本主義」がダボス会議で取り上げられ世界各国で進んでいるようですが、「三方よし経営」を進めていた我が国の視点から見るに、何を今更感を感じております。
(この辺の裏にあるものとして、個人的に欧米文化は一神教をベースにしたメンタルモデルを見るに、略奪文化・独裁制意識があるのでは、と感じています。その辺は全く専門でもありませんし、根拠も何もないのですが。とはいえ宗教感から見るに欧米人と東洋人とのマインドセットは全く異なるのだろうなぁと理解しています。)
「和をもって尊しとなす」国としての「共創」は、そもそも国民性・マインドセットに長らく組み込まれてきたものと考えており、「響創する日本型マーケティング」という着眼点は、今後我が国での事業活動推進にあたり不協和音を起こさないための鍵とも考えます。
そういう意味で非常に勉強になりました。ありがとうございました。
他にも感想はいろいろありましたが、整理して書こうとするといくら時間があっても足りないので、これにて。
以上


合同会社8代表。事業設計士・SDGsファシリテーター。
2011年、東日本大震災をきっかけに地域活性化の起業家活動を開始。
2017年、農林水産省産学官連携協議会に東京大学・上場企業3社らと農業とAIの研究事業発足。
2019年、合同会社8設立。2020年10月よりSDGs推進事業開始。
現在では企業向け・教育機関向け・行政向けにSDGsの理解と実践のためのワークショップなど開催中。
たまに事業設計士として事業計画を作ってプロジェクト推進や資金調達なども。
2022年には地元「青森テレビ」のGW特番にてSDGs解説員として出演するなど、地域内でSDGs推進の第一人者的存在(?)となっている。